介護施設での転倒事故が起きたときに家族がとるべき対応
介護施設に家族を預けている方にとって、転倒事故の知らせは非常にショックなもので、「なぜ防げなかったのか」と怒りを感じるのは当然のことです。
とはいえ、感情的になって施設側と話し合いがこじれてしまうと、真相の把握や適切な補償を受けるのが難しくなる場合もあります。
本記事では、介護施設で転倒事故が発生した際に、家族がとるべき対応について説明します。
事故当時の状況の聞き取り
まずは、事故が起きた日時や場所、状況などを施設側から丁寧に聞き取ることから始めます。
具体的には、以下の内容を詳細に確認してください。
- 事故が発生した正確な日時と場所
- 立ち上がる際や歩行中など転倒した時の詳しい状況
- 施設側が考える転倒の原因
- 発見後の応急処置の内容
- 病院や主治医にはどのように報告したか
聞き取った内容は、日時、相手の役職・氏名とともに必ずメモに残してください。
後の話し合いで「言った・言わない」のトラブルを防ぐための重要な証拠となります。
また、施設に入居しているご本人自身も意思疎通ができる状態であれば、無理のない範囲で記憶の新しい間に聴き取りをすることが望ましいです。
事故報告書や記録の開示請求
聞き取りと並行して、施設が保管している記録の開示を請求します。
具体的には、事故の状況がまとめられた「事故報告書」、日々の心身の状態がわかる「介護記録や看護記録」、転倒リスクに対する認識等が記載された「ケアプラン」「アセスメント表」「ADL調査票」、病院の処置内容や診断内容が記載されている「診療録(カルテ)」などを確認します。
これらの記録を聞き取り内容と照らし合わせることで、説明との矛盾点がないか、施設側が転倒リスクを適切に評価し、必要な予防策を取っていたかなどを確認することができます。
責任者と示談交渉
事故の内容や原因がある程度明らかになったら、施設の責任者と話し合いの場を設け、収集した証拠をもとに、施設側の管理体制に問題がなかったか確認していきます。
その上で、治療費や慰謝料といった損害賠償、施設側の責任を認めて正式に謝罪すること、具体的な再発防止策を考案して実施することを要求します。
なお、話し合いの内容は双方合意の上で録音をするか、議事録として書面に残し、双方で確認・署名することが望ましいです。
示談不成立なら弁護士への依頼も検討
施設側が一切責任を認めなかったり、提示された賠償額が著しく低かったり、そもそも話し合いに誠実に応じてくれなかったりする場合は、弁護士に相談するのが最適です。
弁護士に依頼することで、類似事件の裁判例などを参照し法的な観点から施設の責任を追及できるようになり、適切な賠償を請求することが可能になります。
まとめ
介護施設での転倒事故が起きた際は、まず事実関係を丁寧に聞き取り、記録を入手することから始めて、ある程度証拠が揃った段階で施設側との交渉に取り掛かります。
とはいえ、必ずしも施設側が誠実に対応してくれる保証はなく、納得のいく賠償額が提示されるとも限りません。
納得のいく対応が得られなければ、弁護士への相談も検討してみてください。
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